ジャム瓶に夏を詰める


私の夏が終わった。
あんなに待ち遠しかった、終わらないだろうと思っていた夏が終わってしまった。おっちゃんらは次の動きを発表してくれないし、何してるのかと思えばなんかおじじコスしたりパペットになったりしてるし、まあでも、ツアーと舞台やらドラマやら27時間テレビやらを兼ねた鬼スケジュールを、嫌な顔一つせず(?)本当によくこなしてくれたと思います。尊敬と感謝しかないです。ありがとう、お疲れさま。次に会えるときまでにお金貯めて、痩せとこ。



ライブツアージャムの感想という名のポエムを書いていこうと思う。




ジャムの特徴は何と言っても、バンドパートとアイドルパートに分かれる二部構成であることだろう。そして、第一部のぶっ通しバンド一本勝負は、関ジャニ∞初の野外フェス、メトロックを彷彿とさせるセトリだったことは、私がジャムの感想を書く上で、欠かせないものである。



私には、どうしても許せないことがあった。


関ジャニ∞がメトロックに、私たちを呼ばなかったこと。チケットが売り切れてから出演を発表したこと。
主催者側の意向なのかエイトたち本人の意思なのかは知らないが、私は心の広い大人でも有益なオタクでもないので、もうこれに関してはおおよそ平常心というものを忘れ去り、ひたすらキレ散らかしていた。


私はエイトのバンドが好きだ。すばるの魂の歌声、楽器を扱うという独特な姿、音楽から垣間見えるメンバー間の精神のやりとり、信頼関係、そして村上くんの優しく力強い表情、全てが詰まっているのが関ジャニ∞のロックで、バンドだ。
私はただ、野外で、大空に響きわたる彼らのまっすぐな音楽が聞きたかった。それは、当たり前の願望だと思う。だって私はオタクだ。彼らが好きだし、彼らのバンドが好きだ。
なのにファンを差し置いて野外フェスに出演し、ファンがその姿を見る方法をわざわざ閉ざす、「来るな」とでも言うようなそのやり方に心底腹が立った。すばるはよく、俺たちはアイドルだと言う。ならば、野外でバンドを繰り広げる自分たちの姿をそのファンに見せない理由はなんなのか?野外フェスの客層に自分たちの音楽を認めてほしいのか?アイドルのファンと、野外フェスに来るような、言うなればロックのファンを、あちらが積極的に区別しているのではないか?アイドルとロックを、彼ら自身で線引きしていることにならないか?私はずっと考えた。考えれば考えるほど腹が立って、かなしくなった。苛立ちは連鎖し、"オタクのあるべき姿"を押し付けて来るツイッターの一部のファンにも死ぬほどうんざりしたし、アイドルじゃなくてバンドだったと持て囃すメトロック客の感想にもブチギレていた。
ブチギレていたので、あの時期のインタビューは冷静に読めていない。だから彼らが真髄を突くような発言をしていたとしても、取りこぼしているかもしれない。少なくとも私は、彼らがメトロックにファンを、私を呼ばなかった理由が分かっていない。未だに謎のままである。


しかし、だ。

名古屋2日目、私の初日、バンドパートはほぼほぼメトロックと同じセトリだと気付いて、

ああ、連れて行きたかったのだな、
と思った。
メトロックでの姿を見せたかったのだな、と。
私は彼らがやりたいことをやる姿が見たかった。バンド一本で勝負する、そういう、彼らが少なからず憧れていただろう環境で輝く姿を見たかったのだ。大空に響く音楽より、関ジャニ∞に対する非オタの反応より何より、未経験を経験する、憧れを現実にする彼らの姿を、この目で見たかった。
だから、これでいいと思った。ジャムバンドパートでの彼らは自由気ままで、楽しそうに気持ち良さそうに楽器でコミュニケーションを取り合い、有り余るパワーを音楽に変えて会場へ放っていた。まるで、メトロックが問いかけで、ジャムが答えであるかのように。彼らが野外フェスでどんな姿をしていようが、何を感じようが、私にとってはメトロック後のライブジャムで見せてくれた、あの頼もしい表情が結果で、全てだった。

私はあの顔を見ると、チョロいオタクなので、許したとか許せないとか、野外だとかアウェーだとかも、なんかもうどうでもよくなってしまった。メトロックに行けず見られなかった景色はもちろんあった。でも、ジャムで見ることが出来た景色の方がはるかに多い気がした。

私は、あの人たちに、アウェーもホームもない、自分たちの音楽を聞く人らはみな客だと言ってほしかったのかもしれない。みんな楽しませられるから誰でも来いと言ってほしかった。客層にこだわってほしくなかった。だから寂しくて、一人で傷付いた。


関ジャニ∞は、フェスで結果的に大成功を収めた。それでも私を置いていかずに、しっかりと、律儀に、澄み渡った大空に響いたであろう音楽を聞かせにきてくれた。今思えば、自分たちの糧にするための、自分たちのための、今現在のオタクのための、あるいは将来彼らの音楽を聴く人たちのための出演だったのかもしれない。分からない。でも、関ジャニ∞が、私たちにあの日のセトリで、あの日と同じバンド一本勝負を聞かせてくれた。私はもうその事実だけで十分だ。



後日、メトロックの映像を見た。絶対買わねえ〜と意地を張っていたが、結局買ってしまった。負けた。
私のよく知っている彼らが、私の全く知らない顔をして立っている。緊張感に包まれた、それでも覚悟を決めたような気高い表情だ。そんな張り詰めた彼らの歌を受け止める大きな空が、青とオレンジが混ざりあった柔らかい色をしていて、なんとなく私が見た豪雨のあとの十祭の空を思い出した。
メトロックの舞台の関ジャニ∞はとっても格好良かった。探り探りで会場を見渡していた彼らの表情は徐々に緊張が解けて、清々しいものになっていた。誇らしかった。初めて、これで良かった、と思えた。野外フェスに、彼らが出演出来て良かった。
ジャムをつくる上で、おそらくメトロックはなくてはならない舞台だったのだ。メトロックを見て、ジャムに行って、答えが出たような気が、しないでもない。そんな感じで個人的な納得がいって、私は自分の気持ちに整理を付けた。

ちなみに、これは意地でもなんでもないが、私はやっぱり、ライブでの、優しい顔をした私のよく知る関ジャニ∞が好きだと思った。






ジャムで、もう一つ、強く印象に残ったことがある。
ライブ自体が、元気が出るライブを思い出させるものだったということ。セトリや、挿入される映像、大倉くんの髪型。



私が2年前、元気オーラスを終えて書いたブログにはこう書かれてある。

"私はやっぱり、7人揃ったオーラスが見たかったよ。どれだけすごい公演でも、一生に一回しかない経験でも、それでも、大好きだった元気が出るLIVEのオーラスを7人で迎えてほしかった。"
"私は、悔しいに楽しかったは勝らなかった。悔しい。"

うん、悔しかった。私はどんなにあのオーラスが大切でかけがえのないものになったとしても、やっぱり悔しくて悔しくてたまらなかった。最後の勝手に仕上がれは、からっぽのドラムセットを取り囲む彼らの慟哭を聞きながら、ぼうっと立っていた。抱負を語るはずのすばるのMCは、涙で覆われた。DVDに大倉くんはいない。大好きだった元気が出るライブを見返すことは出来なくなってしまった。

でも、もうジャムがある。ドラムセットに大倉くんがいる勝手に仕上がれ、くらりょパートのあるWASABI、すばるの悲しい嗚咽が響かない侍唄。大倉くんのいた元気が出るライブがかえってくるわけではないけれど、それに似た気持ちを勝手に感じた。

福岡、オーラスの勝手に仕上がれが始まって、オーラス独特の熱気に包まれ、懐かしい気持ちを覚えると同時に、何かが昇華したような清々しい気持ちになった。意図的なのかそうでないのか知る由もないが、確かにジャムは、私を元気が出るライブに連れて行ってくれた。誰かが泣いている記憶は尽く塗り替えられ、オーラスに7人が笑っている記憶になった。誰一人暗い顔をしていない、熱いエネルギーに満ち溢れた勝手に仕上がれを見て、私はあの日からずっとこの光景が見たかったのだ、ということを思い、少しだけ泣いた。



バンドパートとアイドルパートに分ける構成も、私はとても好きだった。
私は元々バンドイコールアイドルの部分ではないとは思っていないけれど、それでもオタクたちの見たいものを見せようという気概が伝わってくるのはとても嬉しいことだ。やはりジャニオタであればダンスをする自担が嫌いな人はいない、ということを分かってくれている、みたいな幸福感さえある。
アイドルパート、特に序盤が怒涛のアダルト路線だったのも最高だった。夏がそうさせたのだろうか?(?)
欲を言えば、最後にもう一回バンドが聞きたかったが、そんなものは取るに足りないわがままで、基本的にはジャムは文句の付け所のない、素晴らしいライブであったと思っている。





以下、記憶力がカスなので一曲一曲レビューすることはもはや無理だが、これについては述べたいというものを記しておきます。※村上くん多め





◯村上くんのリストバンド

村上くんのキーボード姿が真上のカメラに映ったときに、ジャム仕様のリストバンドが付けられている手首が映る。何あれ?!めっちゃエロだった、、😭村上くんの良いところ出てた。夏の健康的な色気が出てた。福岡ではなかったように見えたのが寂しい。あのリストバンドを付けた腕で施される乱暴グリッサンドが本当にたまらなかった、ので、あの手付きだけを収めた特典を期待しているところである。ナイスグリッサンド!



◯夢への帰り道

村上くん、ピアノ、本当にうまくなったね〜〜😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭と毎回号泣しそうになった。
音が、ピアノをしている人の音になったね。強弱ではなく、柔らかい、表情のついた音が出るようになった。もうハラハラしない。村上くんの弛まぬ努力と、ピアノに真摯な姿勢がもたらしたたおやかな伴奏は、頼もしく、優しくしっかりメンバーの演奏を支えていて、震えながら鍵盤を触っていた頃が懐かしくなった。
一方通行なバンドに飽きてきたフリーダムおっちゃんらのお遊びが見られるのもこの曲だ。アレンジが加えられるということはそれだけ上手であるということだが、名古屋2日目はさすがにお遊びが過ぎたのか、曲の最中にすばるが注意してやり直した。オーラスはあからさまにDVD用だったのがオモロかったです。



◯生きろ

アルバムで一番好きな曲だ。シンプルなコード進行は彼らのまっすぐな歌声を載せるのにぴったりで、ドームではストレート球のように直線的に響き渡り、心に心地よい振動をもたらす曲だった。
東京での、すばるの腹からの「生きてくれーーー!!!!!」がサイコーで、涙が出そうになりながら打ち震えたな〜!ああいう声を聞くためにライブに行くのだと実感した。



◯DONAI

村上信五は、あのピチピチギラギラピンクドスケベスーツが世界一似合う男だった。ほらいい顔してる♡が凄まじくイイ顔をしていることに定評のある村上信五なのだが、あの瞬間の悲鳴に味をしめたのだろうか、東京最後の方なんか、完全にエッチな感じを作っていましたよね?!このおませさんめ!



ノスタルジア

最高だったです。ジャムは全てが良かったが、その中でもあえて「これのために8000円払った大賞」を贈るとすれば、この曲かもしれないくらい、本当に良かった。
シンセと四人のコーラスが組み合わさった壮大な音楽が、会場の空気清浄機と化し、青と白の、洞窟の中のごとく厳かな照明に照らされると、空気清浄機により澄んだ冷たい空気に身を包まれるような感覚になる。エメラルドの衣装を纏い、東西南北から十字を描くように集まる四人は神秘的なオーロラのようで、田舎道を照らす懐かしい星空のようで、雨が降った後の森林の木々から滴る雫のようで、それはそれは美しかった。
一言で表すなら、「別世界」がふさわしいかもしれない。
エモいとか格好良いとか、そんなものでは到底表すことのできないものをみた。あの瞬間だけ、現実からかけ離れた空間になった。
ダンスと四人の表情、衣装、照明、音楽、全てが調和して、幻想的な別世界へと私は連れて行かれる。そんなこと、関ジャニ∞のライブでは新鮮すぎる体験だ。また、それでもどこか郷愁みたいなものを感じるところがある。ダンス、歌、演技の三要素全てが詰まって、逆にそれ以外は全く溢すことのない完璧な演出が逆にグッときた。年上組が気概で関ジャニ∞を引っ張ってきたならば、技術で関ジャニ∞を支えているのはこの人たちだという事実を突きつけられている気がした。answerの年上組がオタク心の柔らかいところに正拳突きを食らわせてきたエモすぎる演出なのも相まって、ノスタルジアのストイックなあの演出はより一層年下組の魅力を際立たせる。
素晴らしいものだった。呆然とするしかなかった。傑作だ。絶対にマルチアングルが見たい!!!!!!



◯えげつない

乱暴に上着を脱ぐ村上くん、村上くんのしなやかな三角筋、バテ気味に顔をしかめながら水分補給をする村上くん、ラップバトルの傍らソファにふんぞり返る村上くん



◯今

嫌いなわけではないが、ずっとしっくりこない曲だったし、ライブで聴いても特に...という印象だった。
が、オーラスで、最後の最後でおっちゃんたちが歌う「さよなら またいつか 会うまで」を聴いて、夏の終わりを思って切なくなった。27時間テレビの主題歌でもあり、思えばこの夏を象徴する曲となった。お世話になりました。


◯純情恋花火

浴衣の村上くん




◯KINGちゃん

居たら居たでボロカス言うけどいざ居なかったら寂しい、そんな存在だと気付かされた。正直、Wアンコで彼の登場を期待している私がいた。
十祭の初登場から3年、6回連続で関ジャニ∞のライブにゲスト出演してくれたが、ついに別々道を歩むことになったのだろうか。きっと僕らが生きる明日は悲しいけどもうひとつじゃないのだろうか。
それでも、それでもヤツがくれたぬくもりが胸にあるのは確かだった。ヤツは本物のエンターテイナーだったと、ヤツの出て来ない舞台で改めて実感した。青春のすべてでの桃色の照明は、あの男を包んだ紫のペンラの海に似ていて泣けた。関西から出て来たラッパーにとって、今までの三年間や、あの一面紫の光景は、青春のすべてになるのかもしれない。
KINGちゃん今までありがとう。ときどき遊びに来てね。忘れはしないよ。




◯デコ出し

私は村上信五のデコ出しが好きだ。しかしエイタメがまあ終始前髪ぽやひなだったのでもう期待することもなかったが、諸事情で地元大阪公演を諦めた私の目に、突如入ってきたデコ出しレポ。何が何でも入っておけばよかったと半狂乱になるが、幸いなことに名古屋2日目、私的初日からデコ出しんごを見ることができた。そこから東京1日目、東京2日目とデコ出しんごだったが、東京3日目はまさかのぽやひなだったのだ!ジャム4日目にしてぽやひな初遭遇である。
ぽやひなもぽやひなでかわいかったが、いかんせんデコ出しんごが格好良すぎたし、バンドではやっぱり、限界まで男らしい姿が見たかった。
そこから私は福岡(収録公演)がぽやひなだったらと不安を抱える日々を送ることになる。
迎えた福岡公演、私の愛する男は、デコを出して、力強い眉、凛としたセクシーな瞳で、一局の27時間分を背負った、魂を据えた顔付きで、私の前に姿を表した..........。



◯銀テ
いつものあのセリフが、村上くんの文字で書いてあるのだ。村上くん私頑張るよ。頑張る。






元気が出るライブとメトロック、二つの場所に捉われていた私の地縛霊を成仏させてくれたジャム。かつマンネリを打破するような斬新な二部構成であり、30代の男の余裕とプロの色気でオタクを圧倒したジャム。
私はまだまだ彼らを知らない。彼らだって、まだまだ自分たちに何があるのか分からないだろう。おっちゃんたちがどんなおっちゃんたち自身を引き出してくるのか、また楽しみになった。そして、私たちを新しい方法で楽しませようとしてくれているおっちゃんたちの気持ちが、何よりとても嬉しかった。
あと、村上くん27時間テレビおつかれさま!まだ全て見ていない(?!)ので、頑張って見ます。
良い夏だったし、良いライブだった。あっという間に終わってしまった。エイタメで村上くんが言った"初夏"さえも10年後くらいに感じていたのに、全て終わるのに体感6日ほどだった。それも全部、夏が楽しかった証拠だし、おっちゃんらのおかげである。
関ジャニ∞には冬も似合うけど、夏もとっても似合うことを知った。
出来れば今度は、夕焼けの夏の空に響き渡る彼らの歌が聴きたいと思う。



バイバイ夏。また来年!